担当:松井 圭悟

日本獣医がん学会 腫瘍Ⅱ種認定医
獣医腎泌尿器学会所属




腫瘍とは?


我々の体は細胞からできています。皮膚は上皮細胞など皮膚を構成する細胞から、心臓は心筋細胞から、肝臓は肝細胞からといったようにそれぞれの臓器はそれぞれの細胞からできています。これは犬や猫も同じです。これらの細胞は本来勝手に増えたり、減ったりすることはありません。体の中で緻密にコントロールされいます。
腫瘍とは、そのコントロールから外れ、細胞が自律的に無目的にかつ過剰に増殖する状態です。



良性腫瘍と悪性腫瘍


どちらも腫瘍にはなりますが性質が異なります。悪性腫瘍は所謂“がん“です。がんは急速に増大することが多く、その過程で身体に様々な悪影響を及ぼします。また最大の特徴は転移を起こすことです。転移し身体全体に広がったがんは最終的に命を奪っていきます。
一方良性腫瘍はゆっくりと大きくなることが多く、転移も起こしません。がんに比べて身体への悪影響も少なくほおっておいても大きな問題を起こさないものもあります。しかし中には身体にとって様々な機能障害を起こすもこともありますので油断は禁物です。



診断


腫瘍の診断は見た目ではできません。腫瘍を構成する細胞の種類や形を見ることで何の腫瘍で、また良性なのか悪性なのかを判断することができるようになります。そのための検査には大きく分けて2つあります。




  1. 細胞診断:腫瘍細胞を少量採取して診断する方法です。

    代表的なものに、細い針を腫瘍に刺すことで腫瘍細胞を採ってくる検査が日常的に行われています。採れた細胞は病理検査に出すことで診断できます。身体への負担は少なく、場合によっては麻酔などを行わず検査できるのが利点です。しかし細胞の形のみで診断するため得られる情報量が少なく、確定診断をできるのはごく僅かの腫瘍になります










  2. 組織診断;腫瘍組織を塊で採ることで診断する方法です。

    手術による切除や組織生検といったより大きな塊で腫瘍を採取することで可能な検査です。同じく病理検査に出すことで診断がつきますが、細胞診に比べて得られる情報が多く、確定診断がつくことが多くなります。ただし検査には多くの場合麻酔が必要となり、また傷も大ききなるため、身体への負担は細胞診に比べて大きくなりがちです。









治療


がんの治療は大きく分けて外科治療、放射線治療、化学療法の 3 つになります。がんの種類や進行具合などで、どの治療が適応となるかは異なります。それぞれの治療にメリット、デメリットがあり、がんが小さくなっても治療の副作用で生活の質(QOL)が著しく低下してしまえば意味がありません。逆に一時的に副作用が出ることがあっても、その先に楽な生活が見込めるのであれば積極的に治療をしていく価値は十分あると思います。その為、その子その子の状態に応じて治療方針を決めていく必要があります。もちろんこれらの治療をしないという選択も大切な一つの選択肢になります。大切な子たちの今後を左右する選択になりますので、じっくり相談した上でできる限り生活の質を上げられる治療を提供できればと考えております。